サービス設計: Depth vs Width

こんにちは。開発担当のマットです。

開発はとても楽しい仕事で、人が考えたアイディアに命を吹き込むような仕事だと思っています。

開発者として作っているサービスを成功させたいという気持ちがあるので、サービス設計に問題があるかどうかを判断できるよう、そのサービスの設計を多くの観点から見ることがとても大事です。

そこで、サービス設計の新しい見方を紹介したいと思います。
それは、サービスの「Depth」(深さ)と「Width」(幅)。

それって一体何でしょうか?

何かのサービス(ウェブサイト、アプリ、ゲームなど)を設計する時、1番に考えなければならないことは利用いただくユーザーのことだと思います。
作ったサービスがユーザーのニーズに満たさない場合、サービスは目的を果たしません。

開発者としてそれはとても悲しいことなので、どうしても避けなければなりません。

そうならないように設計者がサービスにできるだけ多くの機能を入れようとすることがありますが、それは果たして正解なのでしょうか?

Widthとは?

ユーザーが何かの行動を取ることを「アクション」と呼びましょう。

検索バーにキワードを入れて、サイトを検索することが「アクション」。
ソーシャルメディアに写真を投稿することも「アクション」。
Bボタンを押したら、マ○オがジャンプすることも「アクション」です。

ユーザーがたくさんのことを体験できるように、設計者がユーザーに多くのアクションを与えることがよくあります。

「アクションを与える」=「自由を与える」=「良い」

と思いきや、100種類のアクションがあると、ユーザーがそれらを覚えないと使えないことが発生してしまいます。
Width = 「ユーザーが取れる行動」ですが
Width = 「複雑さ」とも言えます。

起こせるアクション数が極めて多い、複雑さある、3Dモデレリングソフトの例

せっかくたくさんの機能を作っても、複雑すぎるとユーザーがサービスを使わなくなってしまいます。

では、Depthは何でしょう?

Widthが「ユーザーが取れる行動」だとしたら、Depthは「ユーザーが取った行動によって生み出せる結果の多様性」です。

少し、わかりにくいので、実際の例をあげたいと思います。
それは、どこの国の子供でも好きな「積み木」です。

Widthが極めて低い、Depthが極めてあるオモチャ、積み木

「積み木」がサービスだとしたら、アクションは極めて少ない(積み木を拾う、積み木を置く)ですが、その簡単なルールで生み出せるものは無限に近いです。

デジタルのゲームでいうと、やっぱりMinecraftが思い浮かびますが、多くのMMOで自分のキャラクターを自分なりに成長させることができますし、多くのシミュレーションゲームでは自分の思う通りの街や国を作ることができます。

ユーザーの選択によって、遊び方が変わる

ウェブサイトとアプリでいうと、ソーシャルメディアが一番の例だと思います。
インターネットにテキストや画像ファイルを上げることがずっと昔からありましたが、「プロフィール作成」、「人をフォローする」、「友達に共有する」だけで、世界がぐっと変わりました。

実際の世界に影響を及ぼしているソーシャルメディアの力

行動の組み合わせで、ユーザーに面白いものを作りあげる力を与えることがDepthの特徴です。

では、どうしたらいい?

上記で、「Depth」=「良い」に対して「Width」= 「悪い」、だと解釈しやすいですが、必ずしもそうとは言えないと思います。

例えば、将棋と囲碁を比較すると、将棋のルールの方が複雑で「Width」はありますが・・・だから囲碁がより良いとは言えません。

Widthも適切に設計することが大事だと思います。

機能が少なすぎてWidthが足りない場合、ユーザーはすぐに飽きてしまいます。
逆に、機能がありすぎて複雑になると、ユーザーがすぐに諦めてしまいます。
Depthが足りなければ使っても面白いものではないので、すぐに使われなくなるでしょう。

つまり、サービスに機能をたくさんつけて複雑さを増やしすぎてしまうことがないよう、サービス設計者と開発者がもっと考えるべきではないかと思います。

なお、たくさんの機能をつけても、それがユーザーにとって楽しいまたは便利な結果に繋ぐことができない場合も考え直すべきではないかと思います。

今後、サービスを設計する際、上記の「Depth」と「Width」のレンズを通して、サービスの強弱を洗い出して、より良いサービスを作れるよう考えてみていきたいと思います。

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